zensai7 2015年9月1日、新製品の「七種野菜の全菜バーグ」が発売されました。

前回よりお送りしている開発担当者へのインタビュー記事。後編となる今回は、前回よりもさらに突っ込んで、製品の具体的な特徴やポイントなどに関するインタビューをご紹介していきます。(前編はこちら

 

――では具体的に、製品の内容や特徴について聞かせてください。

 

【開発】 そうですね。「七種野菜の全菜バーグ」の最大の特徴は「食感」だと思います。

大豆でできたハンバーグというと、豆腐ハンバーグを連想する方が多いと思いますが、今回の野菜バーグの食感は皆さんが想像される豆腐ハンバーグとはまったく別物です。

 

――どのような食感なのでしょうか。

 

【開発】 ひとことで言えば、とても「食べごたえ」のあるバーグだといえるでしょう。

一般に豆腐ハンバーグや野菜バーグなどの名称で販売されている商品は、どうしてもお肉のハンバーグに比べると食感が弱い――つまりは柔らかいと感じている人が多いのではないでしょうか。

私たち開発チームでは、この食感の部分にこそ野菜バーグの美味しさを向上させる重要なポイントがあると判断し、満足度の高い製品を作り上げるには、よりしっかりとした食感のバーグにすることが不可欠であると考えて、開発を行ってきました。

今回の新製品で使われているバーグとソースのうち、特にバーグの部分については、協力工場の方々が中心となって開発を行ってくださったのですが、とても満足のいく製品に仕上げてくれたと感謝しています。

 

――食べ応えのある食感というのは、つまり固いということでしょうか。

 

【開発】 いいえ、そうではありません。確かに、口に入れたときに心地よい感触が得られるよう適度な噛みごたえはありますが、お子様からお年寄りまで、ほとんどのお客様が問題なく召し上がっていただくことのできる、程よい固さとなっています。

そもそも、お肉のハンバーグにしたところで、具材を一度、みじん切りやミンチの状態にしたものを成型していますよね。素材同士の結着はそれほど強いものではありませんから、噛んだときの固さも、むしろ柔らかいというイメージが強いのではないでしょうか。

 

――つまり、お肉のハンバーグと豆腐ハンバーグや野菜バーグとの食べごたえの違いは、固さの違いだけによるものではないということですね。

 

【開発】 ええ。様々な素材を組み合わせ成型してできたハンバーグの食感は、単に全体の固さだけで判断できるものではありません。重要なのはむしろ、口の中でバラバラに解けた具材それぞれが持つ、個々の食感であるといっていいでしょう。

最初にバーグを「噛み千切る」ときの食感と、口の中でほぐれた具材を「噛み砕く」ときの食感の異なる二種類の食感のバランスこそが、満足のいく「食べごたえ」を実現するための要点であったといえます。

 

――確かに、世間でよく見る豆腐ハンバーグの多くは、細かい具材をつなぎ合わせたというよりも、すり潰した具材をそのまま固めたという表現の方が近い気がします。

 

【開発】 今回、私たちがこだわったのもまさにその部分で、お肉のハンバーグでいうところの「粗挽き肉」のような具材感を植物性素材で再現することが、食感UPのためには絶対の条件だと考えてきました。

 

――実際には、どのようにして具材感を強調されたのでしょうか。

 

【開発】 粗挽き肉に代わる素材を作るため、大豆を加工し、繊維感のあるフレーク状の素材を用意して、それをバーグの主原料として配合しています。

 

――「繊維感のあるフレーク状の素材」ですか。

 

【開発】 最近、ベジタリアンの方たちなどの間で人気の「大豆ミート」と呼ばれる食品がありますが、基本的にはあれと同じようなものですね。大豆を熱や圧力によって成型・調理することで、お肉やお魚のような繊維感を持たせることができるのです。

 

――三育フーズでも様々な種類の「大豆ミート」を販売していますが、お客様の評判はとても良いですね。菜食料理のレパートリーが一気に広がるという声も多く、近年、ますます人気が高まっているようです。

 

【開発】 大豆ミートにも色々とバリエーションが存在することから分かるように、この製法を上手く応用すると、大きさや形の異なる色々なタイプの大豆フレークを作ることができます。

今回の全菜バーグでは、形や大きさがバーグの原料として最適な独自のフレークを作り、それを具材に使用しています。

 

――オリジナルの大豆フレークを使う点が、他にはない食感の秘訣という訳ですね。

 

【開発】 今までにない、ずっしりとした本格派の食感を、ぜひ試していただきたいと思います。

 

――それでは次に、ソースについてお伺いしたいと思います。

 

【開発】 実は今回の新製品開発では、最初にバーグが完成してから、それに合わせてソースの開発を行うという手順で行いました。しかし、実際開発に着手してみると、出来上がったバーグに合うソースを作るのが思いのほか難しいことが分かってきました。

 

――難しかったのは、どんな点でしょう。

 

【開発】 これまでお話ししてきたように、バーグはできるだけ食べごたえのあるものを目指して、とても力強い形に仕上がっています。ところが、思った以上にずっしりとしていて肉厚ジューシーなバーグに負けないソースを動物性原料不使用で作ろうと思うと、これがなかなか困難であることに気付かされたのです。

 

――バーグがソースに勝ってしまうということですね。

 

【開発】 ええ。ですが、だからといって、せっかく満足のいく形に仕上がっているバーグのパワーを、わざわざソースに合わせて弱める訳にもいきません。

 

色々と試行錯誤を続けましたが、ある日、とある取引先の方との商談の中で「せっかく動物性フリーの野菜バーグが完成しているのだから、野菜たっぷりのソースと組み合わせた製品があるといいですね」というご意見を頂戴したのをキッカケに、「たっぷり野菜の濃厚ソース」という今のソースの基本となるコンセプトが見えてきました。

 

――「七種野菜の全菜バーグ」のソースは、トマト風味だということですが。

 

【開発】 そうですね。トマトの風味が、重厚なバーグとソースの印象を爽やかに引き締めて、食べごたえがありながらもしつこさや重さを感じさせない、スッキリとした後味を実現しています。

製品のコンセプト自体は「野菜ソース」ということで、商品名にもある通り、トマトのほかにも、にんじん、なす、玉ねぎ、マッシュルーム、ズッキーニ、にんにくの計7種の野菜を使用している訳ですが、味のバランスを調整する中でトマトの風味が特に強く表れたソースが自然と出来上がってきたということです。

 

――野菜ソースという方向性を見つけたことで、バーグとの相性問題は解決したのでしょうか。

 

【開発】 うーん。実際にはその後も色々と試行錯誤が続いた訳ですが、やはりたっぷりと野菜を使って、素材を生かしたソースを作るという基本方針が無ければ、この製品が完成にたどり着くことは難しかったと思います。

 

――野菜ソースがバーグにマッチしたポイントは何だったのでしょう。

 

【開発】 ひとつには「野菜ソース」だと割りきって、ふんだんに野菜を使用することで、素材自身が持つ旨味の成分をしっかりと引き出すことができた点が影響しています。

単純に力の強さだけを追求していった場合、ともすると重ったるい印象だけが強化されてしまい、クドさばかりが目立つ結果になってしまうケースも多くありますが、野菜中心のソースを採用することで、濃厚さとスッキリとした味わいの両方を同時に実現することが可能になりました。

 

――なるほど、どうもありがとうございます。

動物性フリーへのこだわり、食べごたえのあるバーグに、濃厚爽やかな野菜たっぷりトマト風味のソース。開発を担当された方ならではのポイントやエピソードをたくさんお伺いすることができたと思います。

……それでは最後に、読者の方々に一言メッセージをお願いできるでしょうか。

 

【開発】 「七種野菜の全菜バーグ」は、三育フーズが数年の期間をかけて開発し、満を持して発売する自信の新製品です。今までの野菜バーグの印象がガラリと変わる新しい味と食感を、ぜひ一度、お試しいただければ嬉しく思います。

今後とも、「七種野菜の全菜バーグ」と三育フーズをよろしくお願いいたします。

 

――本日はどうもありがとうございました。

 

【開発】 ありがとうございました。

 

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