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2016年4月1日、当社の新製品「野菜とグルテンミートのカレー」が発売になりました。
そこで、この「野菜とグルテンミートのカレー」の開発担当者に行ったインタビューの内容を、対談形式で掲載していきたいと思います。

■目次image001

■三育フーズの伝統商品「グルテンミート」は、お肉の代わりに使える植物性食品

image002―それでは、早速対談を始めたいと思いますが……。

【開発】 はい。

―まずは、皆さん気になっているであろう商品名の「グルテンミート」について、説明をお願いしたいと思います。

【開発】 はい。今回の新製品の名前の中でいきなり出てくる「グルテンミート」についてですが、これは、創業当時から続く三育フーズの看板商品の名称です。

―三育フーズの創業は確か……

【開発】 「三育フーズ」という社名になったのが1974年ですので、今から大体42年ほど前になりますね。

―ということは「グルテンミート」という商品も、42年前から存在していたということですね。

【開発】 いえいえ。グルテンミートの歴史は、三育フーズの歴史よりもずっと長いんですよ。「三育フーズ」という会社の前身となった組織は、元を辿って行くと1928年にまで遡ることができるんですけど、実は、その頃からすでにグルテンミートの原型となる食品が作られていたらしいんです。

―90年近く前ですね!

【開発】 正確には、味付けなど今とは大分違う部分もあったようですが、基本となる原料やコンセプトなどは今も当時と変わっていないんです。で、今回の新製品は、その看板商品である「グルテンミート」を使ったカレーということで、製品名も「野菜とグルテンミートのカレー」になったという訳です。

―なるほど。それで、具体的にグルテンミートというのは、どのような食品なのでしょうか。

image003【開発】 はい。一言でお答えすると「グルテンミート」は、お肉の代わりとして使えるように開発された100%植物性の食品です。私たちはこの「卵乳菜食」の考え方に基づいて、お肉を使わない食生活をもっと世の中に広めていきたいと願っているんですが、実際にお肉を使わずに料理を作ろうと思ってレシピ本やレシピサイトなどを見渡しても、動物性の材料を使わないレシピって、本当に少ししか載っていないんですよ。でも、もしもそんなときに、お肉の代わりに使える素材があったとしたら、料理の幅がぐんと広がると思うんです。

―三育フーズがお肉の置き換えとなる食材を作り続けている理由も、その辺りの事情が大きく影響しているということですね。

■弾力ある食感、豊富なたん白質――「グルテンミート」の特長とは

―お肉を食べない人たちにとって「グルテンミート」はどのくらい使いやすい商品なのでしょうか。

【開発】 そうですね。簡単に説明するのは難しいのですが、グルテンミートの特長を知ってもらえれば、使い方についても理解してもらいやすいのではないかと思います。

―特長というと?

image004【開発】 まず形についてですが、これはお肉で言うと「ブロック肉」のような不定形。大きな肉の塊を、片手でつまめる程度の大きさにぶつ切りしたような感じですね。炒め物や揚げ物用として使うにはちょっと大きいので、包丁などを使って、さらに細かく何切れかに切り分けて使った方が良いですね。

―お麩とは比べものにならないほど、密度があって弾力も強いですけれどね。

【開発】 どちらかと言うと、加熱した「あと」のお肉に近いかもしれないですね。適度な弾力で食べごたえのあるところや、内側まで味が染み込みやすいところなどは、お肉とよく似ていると言っていいと思います。

―グルテンミートは加熱しても食感などが変化したりすることはないんですよね?

【開発】そうですね。お肉の場合には、調理することで見た目も食感も大きく変化しますが、グルテンミートはもとから加熱後のお肉に似た食感で、調理によってこれが大きく変化することはありません。

―味はどういった感じでしょうか。

【開発】 主な原料は小麦のたん白質になりますので、パンやうどんにも共通する小麦の風味が多少あります。また、しょうゆや昆布などで軽く下味もつけてありますが、基本的にはどのような料理にも合うように、強い味付けはしていません。

―調理の際に、好みの味付けにすることができるということですね。

【開発】 あと、これは栄養成分の話になりますが、たん白質の割合が大きい点も、お肉と共通した特長です。

image005―お肉のレシピをそのまま置き換えても、栄養バランスが崩れることはないということですか?

【開発】 厳密に言えば、たん白質やそれを構成するアミノ酸の種類に違いがありますから、そのまま置き換えて何も問題がないとは言えません。 ただ一般に、菜食を始めたばかりの人の中には、お肉やお魚を食べなくなることでたん白質が不足しがちになる人もいるようですから、そういった人たちにとっては簡単にたん白質を摂取できる食材の存在はとても重要だと思います。

―なるほど。「食感」や「調理のしやすさ」「栄養」など様々な点を考慮しながら、ベジタリアンの食生活を支えるために作られた商品だということがよく分かりました。

■グルテンフリーが話題に。グルテンは健康に良い?悪い!?

―ところで「グルテンミート」の商品名にある「グルテン」についてなのですが……。

【開発】 ああ、はい。これはグルテンミートの主な原料であるグルテン(小麦のたん白質)の名称を、そのまま使って名付けています。「グルテン」で出来ている「お肉(ミート)」のような食品だから「グルテンミート」。そのままですね(笑)

―なるほど。ところで、近頃「グルテンフリーダイエット」という言葉をよく聞きます。グルテンの入った食品を避けることでダイエットできるとか、体調が良くなるなどといった話もありますが、グルテンミートの原料であるグルテンというのは、このグルテンフリーダイエットのグルテンと同じものですよね?

【開発】 同じものですね。

―えーと。グルテンを避けると健康になるという話があるのに、私たちは、そのグルテンを主原料にした商品を売っているということになりますが……。

【開発】 そうなんですよ! ……いえ、別にグルテンが体に悪い食品だからという理由でグルテンを販売しているとか、そういう意味ではないですよ。

image006―当たり前です(笑) そうじゃなくて「グルテンは必ずしも体に悪いものではない」という話をしたいということですよね。

【開発】 そうなんですよ!!  確かに、グルテン(小麦のたん白質)が、体質的に合わない人というのは実際に存在します。「セリアック病」や「グルテン不耐症」、あるいは「小麦アレルギー」などといった疾患を抱えておられる方々で、こういった人たちはグルテンの含まれる食品を摂取すると、体調を崩されることが分かっています。

―グルテンを受け付けない病気というのが存在するんですね。

【開発】 グルテンに限らず、たんぱく質を含む食品には、体質的にそれを受け付けないという人が一定数存在することが多くあります。卵や牛乳、大豆など、身近に何らかのアレルギーを持った知り合いがおられる方も多いのではないかと思います。厳密に言うと、セリアック病やグルテン不耐症は、アレルギーとメカニズムが異なるのですが、症状としては共通する部分も多いようです。

―そういった疾患を抱えた人たちは、もちろんグルテンを食べない方がいいに決まっていますよね。

【開発】 セリアック病の方の場合には、実際に医師が治療の一環として、グルテンフリーの食生活を指導することが多いそうです。また、セリアック病の方がグルテンフリーを続けることで「体重」にも変化が見られたという研究成果も存在しています。

―体重変化!? ひょっとするとグルテンフリーダイエットの根拠となったのは……

【開発】 このセリアック病患者に関するデータが、グルテンフリーダイエットブームのひとつのキッカケになっていた可能性はあるかもしれませんね。ですが、セリアック病は発症率の高いとされる欧米であっても1%を下回っていますし、日本を含めたアジアでは、さらに低い割合であると言われています。グルテン不耐症や小麦アレルギーについても、それほど多くの人が発症する病気ではないとされています。そして、これらの疾患とは無関係な大多数の人たちについては、グルテンフリーが体重の減少、いわゆるダイエットに有効だという科学的根拠は今のところ示されていません。

image007―グルテンを食べると具合が悪くなる病気の人の体調が、グルテンフリーを始めたことによって改善した……って、よく考えたら、すごく当たり前のような気がしますが。

【開発】 まあ、そう単純な話でもないんでしょうが、やはり、特定の疾患を持った患者に有効だったからといって、それをそのまま一般の人にも適用するのは無理があるのではないかと思います。

―ではやはり、グルテンフリーダイエットには効果がないのでしょうか。

【開発】 今のところデータが揃っていないというだけで、すぐさま効果がないと否定してしまうことはできません。ただ、これは個人的な見解なのですが、実際にグルテンフリーダイエットで体重が減少したとおっしゃっている方の中には、小麦製品全般を避けていた方も多くいるのではないでしょうか。グルテンフリーを実践しようとして、例えばピザ、ケーキなどのカロリーの高い食品を避けた人たちが、結果として、グルテンフリーとはまったく別の理由でダイエットに成功した……そんな可能性もあるのではないかと思うんです。

―なるほど。でも、そうだとしたらグルテンミートも同じように、グルテンとは直接関係のない理由で太りやすいなんてことはないんですか?

【開発】 グルテンミートの主な原料は小麦の中に含まれるたん白質、つまり「グルテン」そのものです。パンなどのような小麦粉をそのまま使った食品に比べると、炭水化物の割合はずっと少なくなっています。もちろん、どんなものでも食べ過ぎれば肥満の原因に繋がるのは一緒ですが、グルテンミート自体が一般的な小麦食品のように際立って高カロリーであるということはありません。

image008―具体的に、どのくらいのカロリーがあるのでしょうか?

【開発】 グルテンミートのカロリーは100gあたり118kcalです。これは、例えば若鶏のもも肉(皮付き・生)の204kcalに比べるとおよそ40%も少ない数字になります。

―お肉と同じ用途でありながら、お肉よりも低カロリーだということですね。

【開発】 はい。ですからグルテンミートは、むしろカロリーを気にされる方に積極的にオススメしたい食品だと言ってもいいくらいだと思います。

―なるほど。色々と説明ありがとうございました。記事を読んでくださるお客様たちも、グルテンミートについてかなり詳しくなったのではないかと思います。

■職員の経験から生まれたグルテンミートのカレー

―「グルテンミート」の話が長くなってしまいましたが、いよいよ「野菜とグルテンミートのカレー」についてお伺いしていきましょう。まずは開発の経緯などからお話いただけるでしょうか。

【開発】 分かりました。今回の新製品である「野菜とグルテンミートのカレー」は、三育フーズがお届けするレトルトカレーの「第2弾」にあたる製品になります。

―第1弾は、ちょうど1年前の2015年4月1日に発売となっていますね。
今回の「野菜とグルテンミートのカレー」は、やはり、この第1弾「野菜と豆のカレー」を意識した製品なのでしょうか。

image009【開発】 そうですね。正直なところ、第1弾である「野菜と豆のカレー」が発売になったときには「どんな反応がくるだろう」だとか「みんな買ってくれるだろうか」などといった不安がありました。

―実際には、売れ行きも大変に好調で、お客様からも非常に前向きなご意見をたくさん頂戴しています。

【開発】 ありがたいことですね。これは本当に驚きだったのですが、「野菜と豆のカレー」については、私たちが予想していたよりもずっと大きな反響を頂戴することができました。そして、そんなお客様の期待に応えたいという社内の声が高まるのを受けて、次のカレーの開発にとりかかることが決定しました。

―「野菜と豆のカレー」という、ある意味分かりやすい第一弾の商品名やコンセプトに比べると、第二弾の「野菜とグルテンミートのカレー」は非常にユニークな、かなり攻め込んだ製品であるように感じられます。今回の「グルテンミート」を使ったカレーというコンセプトは、どの段階で決定したものなのでしょうか?

【開発】 最初にアイデアが出たのはかなり前、「野菜と豆のカレー」がまだ開発途中だった頃ですね。

image010まだ「野菜と豆のカレー」のコンセプトも固まっていなかった開発初期の段階で、お肉の代わりに「グルテンミート」を使ったカレーというアイデアが挙げられていました。

―なぜ「グルテンミート」だったのでしょう?

【開発】 理由は色々あると思いますが、やはり「グルテンミート」という製品に対する絶対的な「自信」あるいは「自負」が大きく影響していたのではないかと思います。

【開発】 というのも「グルテンミート」は職員の間でも大変評判の良い製品でして、実際に自分の家で「グルテンミート」の入った自家製カレーを作っている人が大勢いたんですね。

【開発】 それで、「絶対に美味しいから作ってみて」という声に押されて実際に試作をしてみたら「これは行けるぞ」と。驚きましたね。

―「グルテンミート」入りのカレーを作って欲しいと言った職員の直感は正しかったということですね。

【開発】 ええ。やはり実際に自分たちで食べ続けてきた人たちの言葉には、それなりの根拠があるのだと感心させられました。

■第1弾「野菜と豆のカレー」よりもメリハリのある味。豊富な野菜の旨みで力強い印象のカレーに

―なるほど。さて、ではさらに突っ込んで、「野菜とグルテンミートのカレー」の味や特徴など具体的な説明をお願いしたいと思いますが……。

【開発】 分かりました。まず味についてですが、これは第1弾である「野菜と豆のカレー」のコンセプトを踏襲してあくまでも王道……「誰もが違和感なく食べられる家庭のカレー」を基本にしています。
image012ただ細かい点での違いは多くあり、例えば味をまとめるにあたっては辛さとコクを強調するなど、「野菜と豆のカレー」よりも幾分大人向きのカレーに仕上がっています。

―辛さが増しているということですか?

【開発】 単純に辛さが増しているというよりは、味にメリハリが付いたと言った方が良いかもしれませんね。実際には「野菜と豆のカレー」と同じ程度、一般的な基準で言えばむしろ「甘口」に近い「中辛」くらいの辛さに収まっています。

―味のメリハリというのはどういうことでしょうか。

【開発】 コクと旨味を強化して、それでも全体としてはクドくならないようにバランスを取った結果、より力強い印象のカレーに仕上がったということです。
「野菜と豆のカレー」はお子様でも安心して召し上がっていただけることを第一に考えて、優しめの味付けを選んだわけですが、今回の「野菜とグルテンミートのカレー」は、お子様に召し上がっていただけるカレーという基本の枠組みは守りながらも、大人の方や食べごたえを重視する男性の方などにも納得していただけるものを目指して開発を行っています。

―なるほど。では次に、その新しい味を作り出すためにどのような工夫をされたのか、原料や工程などの特徴について教えてください。

【開発】 一番のポイントは、いかにして動物性の原料を使用することなく満足のいくカレーを作ったかです。もちろん、ただお肉を抜いただけでは上手くいきません。ですから、お肉から出ていた旨味を補ってくれる素材を見つけることが重要なんです。

―実際にどのような食材を使って旨みを出したのでしょうか。

【開発】 商品名にもある通り、ひとつには「野菜」をたっぷりと使用することで旨みの補強を図っています。
image013今回のカレーに使った食材でいうと、例えばトマトやニンニクなどの中には、代表的な旨味成分のひとつであるグルタミン酸がとても多く含まれていることが分かっています。野菜をたっぷりと使用すればするほど、より多くの旨味成分がカレーの中に入ることになる訳です。

―野菜がたくさん入っているというのは、それだけで何だか得をしたような気分になりますね。

【開発】 野菜の中には旨味成分だけではなく、ビタミンやミネラルなど様々な栄養素が豊富に含まれていますから、気分だけではなく、実際に健康面でもかなりお得だと思いますよ。また、旨味の補強と風味の調整を目的として、味噌を加えています。加えて酵母や麦芽エキス、醤油などでバランスを取りながら、香辛料と合わせて最終的に製品の味を完成させています。

―なるほど。たくさんの素材のすべてに与えられた役割があって、それらが見事に合わさっているからこそ、あの味が実現できた訳ですね。

―インタビューへのご協力どうもありがとうございました。最後に締めのメッセージをお願いできますか。

【開発】 はい。まずは「野菜と豆のカレー」を応援してくださったお客様たちに心からの感謝を。皆様の暖かい声と、期待のメッセージがあったからこそ、こうしてカレー第2弾を発売することができました。

すでに「野菜と豆のカレー」をご愛用いただいているお客様も、まだ三育フーズのカレーを食べたことがないという方も、ぜひ一度「野菜とグルテンミートのカレー」をお試しいただき、私たちの目指した味を実感していただければ嬉しく思います。三育フーズの歴史と常にともにあった「グルテンミート」。その「グルテンミート」を知り尽くした三育フーズだからこそできた「野菜とグルテンミートのカレー」を、どうかよろしくお願いします。

―本日は、どうもありがとうございました。

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